「三陸希望遺産 デジタル・アーカイブ構築プロジェクト」
3Dデジタルアーカイブ作成および利活用の実現

プロジェクト概要

三陸地方では東日本大震災で博物館資料をはじめとする多数の文化財が失われた経験から、郷土の文化財の確実な保全と活用の両立に課題を感じていました。そこで、岩手県立博物館が中心となり、6施設が連携し、各地の博物館に散在する、東日本大震災被災地の自然及び文化の豊かさを象徴し、特徴づける資料群の情報を一元的に管理・発信可能とする「三陸希望遺産デジタル・アーカイブ構築プロジェクト」がはじまりました。
弊社は、株式会社NTT ArtTechnologyと連携し、各施設が所蔵する化石等地質標本計178点のフォトグラメトリ手法による3Dデジタルデータ化、およびそのデジタルアーカイブデータを3Dプリントした精巧なレプリカの製作を担当しました。
納品したデジタルデータは2025年2月に「三陸希望遺産デジタルアーカイブ」として公開されました。

三陸希望遺産デジタル・アーカイブ https://iwapmus.jp/sanrikuda/

(実行委員会事務局)岩手県立博物館 https://www2.pref.iwate.jp/~hp0910/

(製作管理)株式会社NTT ArtTechnology https://www.ntt-arttechnology.com/

①高精細3Dデータ(左:カラーテクスチャあり・右:カラーテクスチャなし)
①高精細フルカラーレプリカ
①のカラーテクスチャなしレプリカ
①3Dプリントデータ
①岩手県久慈市で見つかった後期白亜紀のアンモナイトの化石(注:複数パーツの一部)
様々なサイズに対応したフォトグラメトリ撮影を実施

合計178点におよぶ対象の化石等地質標本のサイズは大きいもので1辺/500~600㎜、最少10㎜とかなりサイズの幅がありました。
フォトグラメトリ撮影において最良の結果を得るために、深度合成撮影など様々な技術を使い、各サイズや素材に対応した3Dデータを作成しております。

深度合成するために、対象物とカメラの距離を数段階セッティングして撮影。(深度撮影2~3段階 計218枚撮影にて作成)

➁深度合成撮影の様子
➁サイズ感(約3.5㎜)
➁3Dデータ(左:カラーテクスチャあり・右:点群表示)
➁岩手県久慈市で発見された後期白亜紀のティロサウルス類の歯の化石
デジタルアーカイブ活動の自走支援

2023年4月に「博物館法の一部を改正する法律」が施行され、博物館の事業に博物館資料のデジタルアーカイブ化と公開が追加されるとともに、他の博物館との連携、地域の多様な主体との連携・協力による文化観光など地域の活力の向上へ寄与が努力義務化されました。これらを背景として、「三陸希望遺産デジタル・アーカイブ構築プロジェクト」では、各施設においてデジタルデータを自ら積極的に活用できるように、レクチャープログラムを実施しました。
弊社は株式会社NTT ArtTechnologyとともに、岩手県立博物館の学芸員の皆さまを対象に、フォトグラメトリ手法による化石等地質標本の撮影~閲覧用の3Dデータ作成~データを使ったレプリカ造形製作の一連のプロセスをご説明いたしました。

レクチャーの様子
①Photogrammetry撮影/データ生成プロセスのレクチャー
②3Dプリントによるレプリカ作成レクチャー
③データ生成のレクチャー
3Dデータおよび3Dプリント造形物の展示

株式会社NTT ArtTechnologyが運営するNTT東日本の文化施設「NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]」では岩手県立博物館所蔵「大型アンモナイト」を展示しています。フルカラーの3Dデータは3Dビューワーで自由に操作し、様々な角度から立体的に鑑賞することができます。また単色とフルカラーの3Dプリントの2種類の3Dプリント造形によるアンモナイト化石のレプリカを展示しており、単色のレプリカは自由に手にとってご鑑賞いただけます。

(展示場所:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]事業紹介ブース 会期:2025年3月~)
※NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]の開館日についてはHPをご確認ください。
https://www.ntticc.or.jp/