山本織物施設織物工房
設備デジタルアーカイブプロジェクト
3Dスキャンで紡ぐデジタルアーカイブ

プロジェクト概要

群馬県桐生市にある、織物工場「山本織物」の施設内部と織機設備の3Dデジタルアーカイブ化を実施しました。

本プロジェクトでは、桐生織物の歴史深い技術と美しさを確実に保存し、貴重な文化として止めるため、3Dスキャン技術により、精彩な空間まるごとのデジタルアーカイブを構築します。ジャガード織機の機構/構造や、工場の情景までも高精細なデジタルデータとして記録。視覚的な情報の保存のみならず、3Dデジタルデータの閲覧公開により、技術の継承や研究、後進の教育の場においても利活用が可能な形態で保存することを目的とします。

工場の空間と工場内に設備されている昭和から稼働している、ジャガード織機全体を中距離レーザー計測、フォトグラメトリ撮影ではフルサイズ一眼レフカメラに14mmの広角単焦点レンズを使い6時間で約1500枚ほど撮影を実施し、合成したデータを生成を行いました。

狭小空間におけるフォトグラメトリ撮影

合計178点におよぶ対象の化石/地質標本のサイズは大きいもので1辺/500~600㎜、最少10㎜とかなりサイズの幅がありました。
フォトグラメトリ撮影において最良の結果を得るために、深度合成撮影など様々な技術を使い、各サイズや素材に対応した3Dデータを作成しております。

深度合成するために、対象物とカメラの距離を数段階セッティングして撮影。(深度撮影2~3段階 計218枚撮影にて作成)

桐生の織物産業のデジタルアーカイブ

山本織物は1970年代から創業しており、ジャガード織機による織物製造に携わっている。ジャガード生地は、立体的で奥行きを感じさせる重厚感のある生地で、織上がった生地に模様や柄をプリントするのではなく、デザインに沿って織り上げられます。紙に穴をあけた「紋紙(もんがみ)」またはパンチカード」をもとに、染色、整経(せいけい)された糸を使用して、織機が紋紙の穴の情報を読み取り、空いている部分を糸が上下しながら通り、模様を表現します。
※整経(せいけい)とは、糸の長さや本数、張力を整えること

江戸時代に「西に西陣、東に桐生」と謳われるほど現在の現群馬県桐生市を中心とした地域は絹織物の産地として栄え、上毛かるた(1947年発表)で「きりゅうはにっ ぽんのはたどころ」(桐生は日本の機どころ)と唄われほど、絹織物の産地として発展してきた。
しかし、太平洋戦中織機を供出させられ、桐生織物業界は壊滅状態で敗戦を迎えた。その後、戦後復興をとげ、1960年代から80年 代には再び、桐生の製造業の中核産業としての地位を確立した。戦後の経済成長の中、絹織物だけでなく、化繊・合繊、ニット、レースなど多様化がすすみ、桐生の繊維、衣服工業は残念ながら衰退の途をたどった。

桐生織物産業の縮小傾向に対しては、絹織物の桐生織(服地、帯 地)中心の業態から多様化を進め、伝統工芸品の「桐生織」の生地・服地だけでなく、多様な原糸を使った多様なテキス タイル(織物、布地)の生産、それらを使った衣服(和装、洋装)、羽織紐、帯締、ネクタイなどにも展開を広げている。
しかしながら、戦後から続いている和服離れによる需要全体の減少、従業者の高齢化がますます進行している中で、桐生の伝統的な織物業を残していけるか、難しい見込もある。

メタバース空間への実装
山本織物の3D空間データは、fortniteのワールドに実装しました。
桐生織物の工房の情景をワールドの体験にもメタバース空間への実装 ─ 伝統工房を Fortnite で世界へ発信

山本織物(群馬県桐生市)を高精度レーザースキャン/フォトグラメトリでデジタルアーカイブした3Dデータを、Epic Games 「Fortnite」Creativeワールドに実装しました。実際の工房に並ぶジャカード織機を忠実に再現し、プレイヤーはグローバルサーバー上で“歩いて・触れて・学べる”インタラクティブ体験を楽しめます。

Fortniteを利用していただいたモデルをできるだけ品質を落とさずに実装しました。Unreal EngineベースのUEFNで実装しているため、フォトグラメトリの3Dモデルも簡単に実装ができます。ゲームではありませんが細かい部分まで再現しているため細部までご覧いただければと思います。より近くで見たい人に向けて3人称視点にも変更ができます。
Fortnite 島コード:7037-2662-9339

<クレジット>
山本織物(協力)/SUPERSCANSTUDIO(計測・データ生成)